カネット(仔鴨)&シャテーヌ(山栗)&金時草
鴨はもうすでにおなじみの素材だと思いますが、一口に鴨といってもさまざまな種類がありまして。野生か飼育か、あるいは飼育の産地や方法、サイズなどでも名前が違ってきます。この料理に使用しているのはカネット、雌の若い飼育鴨です。ちなみに雄の鴨はカナール、雌はカヌ、雄の若い鴨はカネトンといいます。カネットはピチピチの若いお嬢さん鴨ですので、やわらかく、ややあっさりめの脂がのっており、やさしい味わいが特徴。カネットの胸肉にタイムをつけてじんわりと焼き、オレンジのハチミツを皮目にぬってサラマンドル(上火オーブン)でカリッと仕上げます。
つけ合わせのリゾットには、イタリア産の米「カルナローリ」と、同じくイタリア産のシャテーヌを。この米は日本のものよりも細長く、しかしアジアの長粒米よりは幅があり、アルデンテをできるだけ保ちたいリゾットに向いています。シャテーヌは山栗で、普通の栗よりも甘味がしっかりしています。刻んだトリュフとトリュフオイル、パルメザンを加え、香りと甘味が抜群の秋リゾットに。
さて、このような美味なる強軍のヨーロッパ勢に対し、国産素材は何を送り込むか。ここはひとつ、個性派青菜を代表する金時草に登場願うことにしましょう。金沢が産地として有名ですが、当店では福島の農家より産直で仕入れています。夏から秋までが旬の野菜で、先の尖った葉、表面は緑、裏側は赤紫色。金時芋の色に似ていることからその名がつけられたそうです。色素はアントシアニンで、抗酸化作用があるといわれており、また、血圧のバランスをとるギャバや、ビタミンA、鉄分、カルシウム、カリウムを豊富に含む野菜です。ゆでるとぬめりが出て、それをおひたしにするのが日本料理の定番ですが、当店では衣をつけて揚げたり、ソテーなどにしています。
あとは鴨のジュのソースを流せば完成です。猛暑だった今年の夏もようやく終わりを告げ、過ごしやすく、食欲のわく季節がやってきました。国内・外より今一番美味しい食材を仕入れて、みなさまのお越しをお待ちしています。
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