From Chef
やわらかな仏産ヒナ鶏にアーティチョークとアイオリの初夏スタイル
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コクレ&アーティチョーク
フランスの鶏は、肥育日数による大きさの違いや雄雌によって、いくつかに分類され、それぞれに名前がつけられています。500gくらいのヒナ鶏の雄はコクレ、雌はプーサン、1〜2㎏の若鶏のプーレ、特に太らせた雌のプーラルド、3㎏くらいある去勢鶏のシャポン、卵を産み終えたプールなど。また、雄鶏全般はコックといいます。シンボルマークとして様々な所で使われていますよね。

当店では国産の伊達鶏の他に、フランス産の鶏も折々使用しています。ロティやコンフィなどスタンタードに使いやすいのはプーレ。シャポンなら、牛肉でいうところのサシが入ったような肉質で味も濃いので、テリーヌに向いています。プーラルドにはフォア・グラやブレッド(フダン草と呼ばれる青菜)など詰め物をしてゆでます。また、ブレス地方の鶏は高級ですが、それに見合うだけの価値ある美味しさです。

今、提供しているのはコクレを使った料理。1/2羽が1人前にちょうど良いサイズです。やわらかくやさしい味わいの肉質なので、カリカリに焼くよりも、じんわり火を入れたほうが美味しいと思います。オリーブオイルとにんにくとともに鋳物の鍋に入れ、表面だけ軽く焼き色をつけたら、白ワインと鶏のフォン、香草を加え蒸し煮に。料理名の“セート風”とは南仏のラングドック地方の都市名で、イカをトマトソースで煮てアイオリを加えた「イカのセート風」という料理が日本でも知られていますが、このコクレの場合、仕上がる直前にアンチョビのフィレを加えるところがセートスタイル。肉にアンチョビ?と思われるかもしれませんが、これがどうして、非常に相性が良く、その塩味とコクがまさに“いい塩梅”に効くのです。

そしてアイオリは、つけ合わせのアーティチョークに詰めました。アイオリは卵黄やにんにくなどをピューレにしたもので、私はジャガイモのピューレも加え、よりまろやかな味に仕上げています。これをアーティチョークとともにに食べるも良し、あるいはコクレにぬったり、ソースに溶かし混ぜると、ひと味違った美味しさが楽しめます。

アーティチョークも南仏の名物。日本の家庭ではまだ馴染みがさほどありませんが、日本人の口にもよく合う食材だと思います。一度その味を知れば、きっとまた食べたくなるはず。年間を通して手に入りますが、初夏が一番豊富で美味しい季節。南仏産のポワヴラードという品種のものや、数は少ないですが国産も入ってきます。

夜風が爽やかで心地良い季節のディナーには、南仏テイストあふれる、こんな肉料理はいかがでしょうか。



星野 直寛 星野 直寛(ほしの なおひろ)
1971年生まれ、群馬県出身。
‘89年、高崎ビューホテルより料理の道に入る。
‘96年より坂井宏行氏の「ラ・ロシェル」を皮切りに都内のレストランで修業。
‘99年表参道「オン・ザ・スプーン」、’02年「ル・プチ・リュタン」などでシェフを務めた後、’08年に渡仏。クリスチャン・コンスタン氏の「ル・ヴィオロン・ダルグル」をはじめ、数々のレストランにて働く。
’10年11月よりadding:blueシェフに就任。
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