From Chef
個性際立つ西洋葉菜と、クリーミーなロカマドール
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春のサラダ
春は、冬ごもりしていた動物たちが目覚める季節。私たち人間も同様に、低下している新陳代謝を活発にして、老廃物を排出する時です。春の野菜や山菜はほろ苦いものが多いですが、この苦味成分こそが、抗酸化作用のあるポリフェノールや、新陳代謝を促進するアルカロイド類等です。つまり、春は苦味のある野菜をたくさん食べることが理にかなっているのですね。

当店でも、春の葉菜をたっぷり使った前菜をご用意しました。倉敷のフジワラファームから届く西洋野菜を10種以上ミックスしています。ちなみにファーム代表の藤原さんは、日本における西洋野菜栽培のエキスパート。会えば何時間でも野菜談義しているような人です。

その時々で内容は多少変わりますが、例えばアジエンスレッド、スリーディーマスタード、プルピエ、セルヴァティカ、サマーレッド、エルバステラ、ビエトラミニ、フラミンゴスター、タンポポ、ベビーフヌイユ、赤軸ホウレン草など。珍しいものばかりでしょう? ほろ苦いもの、ピリッとした辛味があるもの、ほんのり塩気を含むもの。やわらかい葉もあればシャキシャキした葉、少しぬめりがある葉など、それぞれに個性が際立っています。「サラダなんてどれも大差なし」なんて思っている方がいたら、ぜひ一度お試し下さい。目からウロコが落ちます!

野菜のパワーに負けないように、ヴィネグレットは香り高いレモンのコンフィをベースに作りました。レモンもやはり、美容と健康に効果のある食材ですよね。レモンのコンフィとは、丸ごとのレモンに十文字の切れ目を入れ、塩と砂糖をすり込んで瓶詰めにし、数カ月ねかせたもの。皮の部分をミキサーにかけピューレにし、レモン風味のヴィネガーやオリーブオイル、クミンシードなどを加えて作ります。単に酸っぱいヴィネグレットではない、深みのある味わいです。

真ん中に盛ったクロケットは、山羊チーズのロカマドール。ロカマドールは、フランスのミディ・ピレネー地方の北部、ケルシー地方とも呼ばれる所にある巡礼地、アルズー渓谷のロカマドール村で作られています。古いプロヴァンス語のオック語で小さな山羊チーズを意味するカベクー(・ド・ロカマドール)とも呼ばれていましたが、1996年にA.O.C (原産地統制呼称)に認定されたことで、村名のロカマドールになったそうです。クリーミーでクセはさほど強くないので、山羊チーズを食べ慣れていない方にもおすすめできます。現地のビストロでは、ロカマドールにハチミツやクルミを添えたものがデザートとして提供されていました。生野菜と非常に相性の良いチーズです。



星野 直寛 星野 直寛(ほしの なおひろ)
1971年生まれ、群馬県出身。
‘89年、高崎ビューホテルより料理の道に入る。
‘96年より坂井宏行氏の「ラ・ロシェル」を皮切りに都内のレストランで修業。
‘99年表参道「オン・ザ・スプーン」、’02年「ル・プチ・リュタン」などでシェフを務めた後、’08年に渡仏。クリスチャン・コンスタン氏の「ル・ヴィオロン・ダルグル」をはじめ、数々のレストランにて働く。
’10年11月よりadding:blueシェフに就任。
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