ジビエ
どうです、このツヤツヤとチョコレート色に輝くソース。やわらかく火の入ったマルッカサン(仔イノシシ)にたっぷりつけて頬張れば、えもいわれぬ満ち足りた気分になること間違いなし!です。私の自信作であるこのソースは、香味野菜、赤ワイン、フォン・ド・ヴォー、マルカッサンのガラを焼いたものなどをベースにし、メインとなる肉を煮た後、更に野菜と赤ワインを加え、豚の血や生クリーム、フォワ・グラバター、コニャックで仕上げる、クラシックなレシピ。手間はかかりますが、受け継いでいく価値のある美味しさが実感できると思います。つけ合わせにはリンゴや栗などのピューレを添えるのがペーシックで、コワン(花梨)もよく合います。メリハリをつけるため、マンゴーをプラスしているのがうちのオリジナル。
狩猟で捕らえた野生の鳥獣、ジビエは冬のヨーロッパ料理になくてはならない存在です。日本人はあまり食べ慣れていないともいわれますが、ボタン鍋(シシ鍋)や鴨鍋などで口にしているのでは? とはいえ、肉の種類のバリエーションや調理法は、やはりヨーロッパには勝てませんね。当店では、ジビエファンのお客様が多いのですが、まだあまりご存知ないという方のために、ここでちょっと、ジビエのミニ講座を開きたいと思います。まず、肉の種類ですが、鳥類では、真鴨(コルヴェール、青首鴨)、小鴨(サルセル)、山鶉(ペルドロー)、山シギ(ベカス)、森鳩(ピジョン・ラミエ)、キジ(フザン)、ライチョウ(ラゴペード・デコス、グルーズ)など。4本の脚を持つ動物では、先ほどのマルカッサンの他に、成長したイノシシ(サングリエ)、鹿(シュヴルイユ)、野ウサギ(リエーヴル)など。当店では主に北海道をはじめ各地の猟師さんから、その時々に仕留めたものを送ってもらっています。種類によってはフランスなどヨーロッパ産のものも使います。
その動物が食べたエサや育った環境、いつどのように仕留められたのか、といった違いから、1羽1羽1頭1頭の肉質や味わいが異なるのがジビエの特徴であり、魅力です。その魅力を余すところなくお客様にご提供するべく、フザンタージュ(熟成)をどれくらいするのか、焼くのか煮るのか、どれくらい火を入れるのかなど、個々の状態を見極めて調理を行っています。料理人の腕が試される素材なのですね。
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