From Chef
香りを高める仕上げの一匙
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香りのオイル
料理は、口で味わうより前にまず嗅覚に訴えかける「香り」があり、そして食べ終えた後に鼻腔を抜ける余韻の「アロマ」があります。いかに香り高く仕上げるかがプロの腕の見せ所といえるでしょう。アクセントとなる香りの要素には、ハーブやスパイス、柑橘類、ナッツ、油脂類、燻香などが挙げられます。油脂とは、様々なフレーバーオイルや、香ばしいバターの香り、燻香はスモークですね。

この写真の料理は、鰆をスモークしてから弱火で火を通したもので、春から初夏にかけておすすめの1皿です。つけ合わせはキャベツ入りジャガイモのピューレとグリーンアスパラガスで食感を対比。しっかりとした香りのある魚には肉のジュのソースが合うので、ジュ・ド・ヴォーをベースにトマトやパセリを加えたソースを添えています。そして、香りのアクセントとなるのが、仕上げに少量かけるノワゼットオイル。ノワゼットは日本語ではしばみ、ヘーゼルナッツのことです。いくら香り良くといっても、ノワゼットオイル100%だと強すぎてしまうので、3倍量のオリーブオイルを合わせ、そこにイタリア産へーゼルナッツの実のローストを加え、90℃まで加熱してから一晩置いたものを使用。手間はかかりますが、このほうが、フレッシュで上品な香りのオイルが得られ、なおかつ、ナッツのカリッとした食感も生かせます。

仕上げにかけるのに向いているオイルは、他にレモン風味のオリーブオイルやピスタチオオイル、アルガンオイルなど。アルガンオイルはモロッコの南西部に育つアカテツ科の木の果実から採油したもので、ごくわずかな量しか採れないため高価。タジンの仕上げにかけると美味しいのですが、ナッティなその香りは個性が強いため、テーブルにて、お客様自身にお好みでかけていただくようにしています。家庭ではなかなかお目にかかることのないオイルでしょうから、どうぞ、当店にて、香りの効果をお試しください。



小林 邦臣 小林 邦臣
1973年生まれ。
ザ・ホテルヨコハマ、レ・サヴール(日比谷)等を経て’99年渡仏。
アンフィクレス(パリ)、ル・ソントネール(ペリゴール)で経験を積んだ後帰国、レ・サンス(スーシェフ)、ル・ジャルダン・デ・サンス、ラール(シェフ)を経てアディング・ブルーへ。
2008年、アディング・ブルーのシェフに就任。
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