From Chef
秋の香りを生かした岩塩包み焼きとテリーヌ
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イチジク&キノコ

 食欲の秋、旬の素材の話は事欠きませんが、今回はイチジクとキノコのお話をしたいと思います。イチジクは、小麦よりも早く栽培された人類最古の農作物らしいと、最近の研究で発表されています。旧約聖書のアダムとイヴが身を隠したのもイチジクの葉ですね。このイチジクの葉で肉を包ん焼くと、葉の甘い香りをまとってとても美味しく仕上がります。adding:blueでは、フォワ・グラのテリーヌを詰めた鶉をイチジクの葉と岩塩で包み焼きにし、イチジクとフヌイユのサラダと、鶉のジュのソースを添えて提供しています。サラダは、フヌイユ風味のシロップにイチジクを一晩漬けて、フヌイユのスライスとともにレモンのヴィネグレットであえたもの。適度な甘さとさわやかな風味でいくらでも食べられそう! イチジクはカリウムやカルシウム、食物繊維が豊富なヘルシーなフルーツで、また、タンパク質分解酵素を含むので、肉料理のつけ合わせにすることは理に適っているんですよ。
 そしてキノコ。当店では特にフランス産キノコをよく使います。セップ、ジロル、トロンペット・デ・モール、シャントレル、ムースロン、ピエ・ブルー……etc. どれもまあ日本の一般家庭ではほとんどお目にかかることはないでしょうね。例えばセップは、丸いカサと太い軸で、アニメに出てくるような、いかにもキノコらしいかわいい形をしています。その形と食感の良さを生かし、金太郎飴のように「切っても切ってもセップ」なテリーヌを作りました。まわりを囲んでいるのは、フランやキッシュのような、セップ風味の卵の生地。湯煎のオーブンでゆっくり火を入れ、1晩ねかせたものを、再び温めて提供します。サラマンドルで焼き色をつけたソースにもセップのジュが入っています。見た目は素朴ですが、食べてみると、意外とメリハリのある味。にんにくやパセリ、エシャロットを要所で効かせているのがその理由です。そうそう、もっと重要なことは、キノコは鮮度が落ちるのが早いので、手元に届いたらすぐに土などをきれいに掃除して、ゆでたり炒めたりして火を入れておくこと。
 やがて秋が深まり、これらのキノコの最盛期が過ぎる頃には、キング・オブ・キノコのトリュフがやってきます。香りを堪能するため、鼻腔はいつでも風通し良く、どうぞ風邪など引きませんようご自愛ください。



星野 直寛 星野 直寛(ほしの なおひろ)
1971年生まれ、群馬県出身。
‘89年、高崎ビューホテルより料理の道に入る。
‘96年より坂井宏行氏の「ラ・ロシェル」を皮切りに都内のレストランで修業。
‘99年表参道「オン・ザ・スプーン」、’02年「ル・プチ・リュタン」などでシェフを務めた後、’08年に渡仏。クリスチャン・コンスタン氏の「ル・ヴィオロン・ダルグル」をはじめ、数々のレストランにて働く。
’10年11月よりadding:blueシェフに就任。
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