From Chef
美味しさの秘訣は「注ぎ足し」のスープにあり
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ブイヤベース
 ブイヤベースといえば、この料理の故郷マルセイユの近くのアヴィニョンのビストロで、初めてブイヤベースを注文した時のことを思い出します。僕の職場は ホテルだったので休日は仲間と交代でとるため、その時、僕は1人。少しざらっとした舌触りで、とても濃厚なスープでした。美味しかったけれど、2人前のボ リュームだから多すぎたし、やっぱり鍋料理は、親しい人と一緒に取り分けて食べてこそ美味しさが倍増するんですよね。さみしい思い出だなあ(涙)。
 ブイヤベースは、カサゴなどの岩礁魚を始めとする魚介を、同じく岩礁魚や小魚で取ったスープ・ド・ポワソン(魚のスープ)で煮ます。魚介を煮る作業は決 して長時間ではなく、火が通って全体の味がなじめばOK。最も大切なのは、元のスープの味をしっかり作っておくことで、そのためには必ず「注ぎ足し」をす ること。ウナギの秘伝のタレなどと同様、毎回スープを使い切るのではなく、注ぎ足し注ぎ足しながら作るものなのです。こうすることで、何かの魚の味が突出 することなく、1つの丸い味になり、また、ある種、発酵的な作用もあって味に深みが出る。家庭では出せない味になるのですね。まさに、シェフから若い料理 人へと受け継いでいくべき味であり技だと思います。
 欠かさず添えるルイユは、にんにく風味のマヨネーズ。アイオリとも言いますが、その違いは、唐辛子を入れる(ルイユ)・入れない(アイオリ)にあるようです。人によって多少作り方が異なり、僕の場合はにんにくと鷹の爪の香りをオリーブオイルに移し、ゆでて裏濃したジャガイモ、卵黄と混ぜ合わせます。モワティエと呼ばれる南仏のすり鉢ですり潰すと、いい感じに仕上がります。



星野 直寛 星野 直寛(ほしの なおひろ)
1971年生まれ、群馬県出身。
‘89年、高崎ビューホテルより料理の道に入る。
‘96年より坂井宏行氏の「ラ・ロシェル」を皮切りに都内のレストランで修業。
‘99年表参道「オン・ザ・スプーン」、’02年「ル・プチ・リュタン」などでシェフを務めた後、’08年に渡仏。クリスチャン・コンスタン氏の「ル・ヴィオロン・ダルグル」をはじめ、数々のレストランにて働く。
’10年11月よりadding:blueシェフに就任。
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