From Chef
南仏修業の思い出の煮込み料理
« ポルトガルで愛される鍋 | TOP | 優しい甘味、その上品な美味しさを堪能 »


仔羊

 1992年から1年とちょっと、僕は南フランスのアヴィニョンというところにあるホテルで働いていました。その頃、まかないご飯でよく食べたのが仔羊肉のナヴァラン。まかないですから、余った肉を使います。肉の表面を焼き、炒めたミルポワ(にんにく、ニンジン、玉ネギ)、トマトなどとともに、白ワインと水で煮込ます。仕上げにジャガイモや青い豆などの野菜を加えますが、これにオリーブとデーツ(ナツメヤシの実)も加わるのが南仏風。しょっちゅう食べましたけど、ぜんぜん飽きませんでしたね。ほんと、旨かったなあ。
 デーツといえば、現地の厨房には、アラブ諸国からの移民の人たちが、野菜の下ごしらえや洗い場などで働いていて、彼らは、自分たちの国の特産物であるデーツをおやつによくつまんでいました。「タカ(僕の愛称です)、ほら食べなよ」と、デーツと一緒にどういうわけか、南仏のお酒、パスティスもくれたものでした。あのー、仕事中なんですけど…(笑)。
 さて、adding:blue では、この南仏風ナヴァランと、仔羊のローストを一つの鍋に入れたオリジナルメニューを提供。同じ素材を異なる味わいで食べたい、というリクエストがあることから考案しました。あ、もちろん、これはお客様用の料理、余った肉じゃありませんからご心配なく。ナヴァランは肩肉、ローストは骨つき背肉をボリュームたっぷり使っています。アリサやピマン・デスプレットなどの唐辛子を効かせた仔羊のピリ辛ソーセージのメルゲーズや、季節の野菜各種も加えました。最後に鍋のフタをして少し蒸し焼きにすることで、ローストの香ばしさはそのままに、しっとりジューシーに仕上がり、より一層美味しくなります。
 仔羊は、主にニュージーランド産を使用、北海道・焼尻島や女満別の仔羊も旬となる初夏には半頭で仕入れ、
この料理に限らず各部位に合った調理でさまざまな料理を提供しますので、どうぞお楽しみに。



星野 直寛 星野 直寛(ほしの なおひろ)
1971年生まれ、群馬県出身。
‘89年、高崎ビューホテルより料理の道に入る。
‘96年より坂井宏行氏の「ラ・ロシェル」を皮切りに都内のレストランで修業。
‘99年表参道「オン・ザ・スプーン」、’02年「ル・プチ・リュタン」などでシェフを務めた後、’08年に渡仏。クリスチャン・コンスタン氏の「ル・ヴィオロン・ダルグル」をはじめ、数々のレストランにて働く。
’10年11月よりadding:blueシェフに就任。
BLUE 

NOTE TOKYOMOTION BLUE YOKOHAMACOTTON CLUBresonance(C) 

copyright BLUE NOTE JAPAN ,INC